システム開発実績インタビュー
株式会社ミツイバウ・マテリアル
代表取締役社長
三井 陽介 様
INTERVIEW
株式会社ミツイバウ・マテリアルでは、社内のデジタル化を急速に進めていく上で販売事務の業務時間削減や申請業務におけるスピード向上を求めており、社内基幹業務システムをデスクトップからWebアプリケーションへの刷新を計画していた。そこでフィグニーは、「習得が容易なスマート基幹業務システム」をコンセプトに掲げ、システム刷新および付随する業務の統合によるリニューアルを開発支援した。
代表取締役社長の三井 陽介様に、プロジェクトの課題背景やフィグニーをベンダーに選定した理由について伺った。
プロジェクト概要
フィグニーは本プロジェクトで、社内基幹業務システムを「デスクトップ型」から「Web アプリケーション」へ全面刷新しました。 旧システムはIBM AS/400(オンプレミス)で稼働していましたが、メーカー保守終了のタイミングを機にクラウド対応のWeb基盤へ置き換えています。
刷新に合わせて、これまでサブシステムで行っていた単価申請や請求管理などの周辺業務も一つのWebシステムに統合しました。
ーはじめに、御社ではどのような事業を行っていますか。
当社は自社で機械加工を行うメーカーの顔に加え、大手メーカーの代理店としての商社機能、職人さん向けの問屋機能、さらに施工店としての管理機能まで備えた“トータル建築板金カンパニー”として事業を展開しています。設計提案から自社工場での加工・製造、配送、そして現場での施工管理までをワンストップで担える体制が強みです。
創業(祖父の代)は鍋ややかんなどの金物販売でした。その後、父の代で建築資材の卸売に軸足を移しつつ、鉄鋼二次製品であるガルバリウム鋼板を用いた屋根・外壁の製造に着手しました。しかし「物を売るだけ」では限界があると感じ、私の代からは物販に施工請負を掛け合わせるハイブリッドモデルへ舵を切りました。結果として現在は施工請負が主軸となり、会社の業態も大きく変化しています。また、2025年1月11日に正式にホールディングス体制へ移行し、グループ経営をスタートさせました。
ー今回のシステム開発に至った背景を教えてください。
実は、2010年に私が入った時の会社は“紙と勘”に頼る超アナログ体質でした。受注書も工場指示書もすべて手書きの複写式で、工場へは FAX 転送、数字は電卓で計算、伝票の色指定は茶色一つとっても“キャメルブラウン”や“新茶”など担当者ごとの呼び方があり、要するに書く人によって情報がバラバラ。その結果、色や寸法を取り違えて作り直すことが日常茶飯事で、不良在庫と材料ロスが山積み。それにヒューマンエラー、長時間労働が常態化していました。
このアナログ運用が招いた最大の問題は人が定着しないことです。新人が入っても「どうせ辞めるから教えない」という負のスパイラルが生まれてしまいました。結果としてベテランの仕事は属人化し、ノウハウもエラーもブラックボックス化。私は「このままでは 10 年後に会社が潰れる」と危機感を抱きました。
だからこそ、まずは 「紙をデータに」「勘を標準化」 するシステムが必要でした。色も寸法も統一し、数値計算は自動化。誰が入力しても同じ帳票が出力されるだけでヒューマンエラーは激減し、生産効率は劇的に改善します。また、事務が入力を担当し営業は提案に集中できるといった業務分業の体制も整えました。IT リテラシーの低い現場でも使えるようExcelベースから段階的にスタートし、最終的に基幹システム刷新へつなげることが、今のシステム開発に踏み切った決定的な理由です。
ー今はデジタル化において様々なツールを取り入れている御社も、最初は建設業界でよく叫ばれている課題を多数抱えていらっしゃったんですね。
そんなデジタル化の旗振りをされた三井社長が代表に就任されたタイミングで、いよいよ基幹業務システムの刷新に踏み込んでいかれたとのことですが、フィグニーを開発パートナーに選んでいただいた決め手は何でしょうか。
決め手としては、紹介の信頼、ゼロイチ開発へのこだわり、そして“エンジニア社長”という安心感。この三拍子ですね。
正直いちばん大きかったのは “信用できる人の紹介” でした。最初にクラウド化を相談した人がいるのですが、その人が「里見社長なら間違いない」と太鼓判を押したんです。私は昔から、”一度信用した人の紹介は信じる”という主義なので、「それなら話を聞いてみよう」と。実際にお会いすると、里見社長ご本人がエンジニア出身で、現場の苦労を肌感でわかっている。私も現場を経験して経営者になっていますが、やはり現場への理解度は考え方に直結しますので、感覚的なものですが、そのバッググラウンドに惹かれました。
もう一つは、ゼロイチでシステムを作れるパートナーが欲しかったこともあります。弊社は最終的に全部の業務システムをつなげたい。パッケージを寄せ集めても“かゆい所”までは届かないし、会社が違えば連携コストも膨らむ。だったら最初からオリジナルで開発した方が遠回りに見えて確実だろう、と考えていたので、フィグニーさんがピッタリのパートナーでした。
ーありがとうございます。きっかけはご紹介ということもありますが、フィグニーの強みを魅力に感じていただき大変嬉しく思います。
続いて、本プロジェクトにおけるフィグニーへの評価を伺えますか。
フィグニーさんは、Notionを活用した情報共有の仕組みがわかりやすく、現場や経理を含む社内のさまざまな部門から要望や質問が自然に集約され、社内外の連携がスムーズになりました。また、スケジュールとタスク管理が堅実で、こちらの都合による作業の中断にも柔軟に対応してくださるところが良い点です。大手SIerに比べて要件変更への融通が利き、現場の事情が動きやすい当社にとっては実務面で大きなメリットを感じています。
一方で今後期待することとして、プロジェクトメンバーが入れ替わるタイミングで背景共有にロスが出ることがありました。ベンチャー企業ではよくあることとは思いますが、改善していただけるとより安心して任せられると考えています。
ー貴重なご意見をいただきありがとうございます。現在フィグニーでは人員定着施策を改革しており、今後もプロジェクト体制を更に強化していく所存です。引き続き、ご期待いただけますと幸いです。
続いて、現在開発は第二フェーズに入っていますが、システム整備によって、最終的にどのようなことを目指していたのでしょうか?
このシステムは今後もバージョンアップを重ねて、他の業務アプリを順次つなぎ込み、最終的にはスマホとPCだけで全ての業務が回る状態を目指しています。そこまで行けば、事務作業の手間は実質5人分は削減できると見込んでいますし、すでに事務から営業への配置転換の希望に応えられた例も出ています。事務作業を効率化することで、今後もより多くの営業人員を確保する余地が生まれ、人材の有効活用が可能になります。効率化と成長を同時に実現することが、基幹業務システムに期待している最大の効果です。
ー今後も御社のゴールを共に目指し、技術力と誠意を持って伴走させていただきます。
最後に、御社の今後の展望を教えてください。
売上や社員数をむやみに追うよりも、目指すのは “松阪で知らない人がいない会社” になることです。
実は数年前、地元の祭りでアンケートを取ったら、うちの名前を知っている人はたった 2割。地元に住んでいる新卒応募者にも知られていないというレベルでした。 それが今では同じようなイベントで5~6割の方が手を挙げてくれるまでになりました。看板を増やすことや、SNSでの発信、地元マラソンにも顔を出す、そんな小さな積み重ねが効いてきたんだと思います。 業界で知られているだけでは人材の採用はできないですし、知ってもらわないと商売も広がらないと思っていますので、認知活動は特に重視しています。
社員数も100人前後で手の届く範囲を保って、売上よりまずきちんと利益を出してみんなの生活をちょっと豊かにする。そして、働いている社員がこの会社に居て「いいな」と言われる会社にしたいです。
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